理学療法士だったヒーラーの日記 私のAtoZ

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食を哲学する 食物の倫理観と新しいシステムについて

今日は読書レビューの回です。
今回読んだ本は
『食物倫理(フード・エシックス)入門』
 
とあるフードロスパーティに参加するために僕はまず全く知らないまま行くのは
氣持ち悪いからとりあえず情報を沢山手に入れようとした。
 
その中で僕が印象に残った本は、
フード・エシックス
 
賞味期限やフードロスの本を読んでいて、
ふと目に止まったのがこの本でした。

 

僕達は何を食べるべきだとか、何を食べないべきだとか、日本食はこうあるべきだとか学んできたと思うけど、
そもそもそれを決めるための過程を深く学ぶことは無かったと思う。
(思うというのは教育プログラムの違いである所はあるみたいなので)
 
そうじゃなかったらここまで、
思考停止して誰かの情報に振り回されて、
欲しいものを欲しいだけ求め続けることは無いだろうし、
一方的に他者の食事情や好みや信条に口出ししないと考えてる。
 
今回は感想文というよりも、
フードロスパーティに備えて
食の倫理について学びましたのでここに記録として残していこうと思います。
 

フードシステムについて

フードシステムから学んだ事
食料の供給システムには2つあって、
1つがグローバルフードシステム
もう1つがオルタナティブフード運動
この2点を学びました。
 
グローバルフードシステムは分かりやすくいうとマクドナルド
所謂、効率化標準化国際化などによって、
より多くより安くより広く食料を広めようとするシステムです。
これのいい所は、より多く安く広くが実現されたこと。
これらを提供出来ることは、
いつでも、どこでも、欲しいものが欲しい量手に入る事ができるシステムということになります。
 
実際にこのシステムのお陰で、
栄養不良の改善が見込まれた人々、
海外に日本食が浸透する、
私達の国にも海外の食文化を取り入れることに成功しています。
 
けれども、グローバルフードシステムという
強すぎるシステムは他の物を排除する性質があります。
 
何が失われてきたかと言うと、
顔の見える取引、多様な食文化、個性
が失われてきました。
また、過度な効率化や標準化により、
盲点が生まれ、動物の虐待、労働者の搾取
遺伝子にそぐわない食事により健康被害が生まれてきました。
(詳細は是非本書をとって読む事をお勧めします)
 

 

食物倫理(フード・エシックス)入門: 食べることの倫理学

食物倫理(フード・エシックス)入門: 食べることの倫理学

 

 

 
そしてその行き過ぎたグローバル化
警鐘を鳴らす、反対の声をあげるかのように新たな食の取り組み
オルタナティブフード運動が生まれました。
具体的にはオーガニック、ローカルフード、スローフード、フード・ジャスティ
等のような取り組みです。
 
しかしこれもどんなに正しい行いでも、
世の中はダイナミックに動くので、
いずれは限界がきますし、
完全にグローバルフードシステムより勝っているかというとそうではありません。
 
例えば過度に人口が密集している地域には
 
その上で本書にも書かれている3つの問を書いて見ます
1.グローバルフードシステムに結びついた問題のある特徴はこのシステムから切り離せないのだろうか?またこのシステムはクリーンアップできるのか?
 
まずこの問に対して答える前に、
前提条件をお攫いすると、
フードシステムの目的は、
低コストで便利で多様な食品を信頼できる調達法であることです。
この目的に外れた行動(資源を食いつぶして結局調達できてくなる等)は
政策や実践で改善は見られました。
しかし、完全に変わることは望めず、
そこには政治的問題や利害関係、権力構造が壁になります。
このような壁がある限り、
人々は新しい可能性として、
オルタナティブフード、代替的手段を用いる必要がありますが、それは完全ではないことを理解する必要があります。
 
2.豊かな消費者たちには、自分達が欲しいと思うものや、自分達のフードシステムに期待しているものを変更する責任はあるか
 
人間には抽象化して考え、将来を予測する能力を動物の中で唯一持ち合わせているといわれています。
そこで、今問題がなくとも、現在から将来を社会的、生態学的、倫理的に問題があるのならやらないという選択と決断が必要ななってきます。
季節外れの果物を一年中求める、
娯楽や日常習慣で大量の肉を食べる、
安くて早くていつでも何でも食べ続ける
このような欲望と向き合う必要があります。
代替的、補償的、一時的何でもいいので問題を解決するのは1つじゃ無いはずです。
 
3.ハイブリッドなシステムは望ましいのだろうか?だとすればそのシステムはどのようなものになるのか?
 
これに対してはまずシステムの事実を見る必要があります。
グローバルといえども、オルタナティブの方が国や食種によって収穫量は変わりコチラの方が多く取れることもありますし、
大規模なシステムではオーガニック食品なんて売られないこともないです(イオンにもオーガニック食品はあります)。
そして小規模だから労働者が搾取されていない、ファストフードは絶対に身体に悪い  、ローカルな方が流通が良く環境に良いとは限らない
こういう信じてたものを疑う、ないし違った事実を受け入れる能力が必要になってきます。
 
そうでないと何が良くて何が悪いか
お互いの長所と短所を理解していないと、
似たもの、二番ぜんじ、既存のシステムにおまけを付け加えたレベルにしかならないと考えられます。
 
お互いの長所を作り出し、
短所を打ち消すないし強みに変える
そういったシステムが必要になるのは昔から変わらないはずです。
 
脳と同じように、望ましい結果をいつでも確実にできるには
右脳と左脳両方が合わさって機能する必要があるように、
グローバルとオルタナティブどちらも活かすないしどちらも参考にしたシステムを作り出す必要があります。
 
ここまでフードシステムについて考えて、
かつフードロスと繋げようと思うと、
まずフードロスはグローバル・オルタナティブどちらでも引き起こされている状態です。
メディアが大の声をあげて言うような、
商品の作り過ぎや捨て過ぎは大量生産と廃棄のせいだけだと言う印象ですが、
オーガニックへの執着が強いと、少しの汚染や非オーガニック商品を捨てることにもなりますし、ローカルフードだと調達の問題からそれまでに傷むことがあったり、
そしてスローフードでは美の意識が強い人からは不味い物は捨てる人間が出てくることだってあります。
 
結局の所、問題や対立の本質を見抜けないから同じことを何度も繰り返すのだなと考えています。
同じことをして違う結果を望むのは狂気だと言われているように、
思考停止や何かに固執してないで、
幅広い可能性や新しい選択肢を創造し決断する必要があると思います。
 
そのために何ができるかと言うと、情熱に従うことだと思います。
フードロスについて残すのをやめようと思うのも選択肢ですし、
この問題を多くの人に知ってもらうために動くのも選択肢ですし、
作話や言い訳をして今まで通りの行動を続ける、活動家に攻撃的になるのも選択の1つです。
 
けれども、どんなに動いてもこの世の原理原則から教えてくれたのは、
物事には時間がかかること
そして、複利の開発は人類の最大の富だと言うこと
 
1人だと時間がかかることも、
多くの人だと短時間ですむことや、
 
短いスパンだと何も変わらないと思っても、
3歩先の未来を見据えて今の行動を積み重ねることで、
いつの間にか世界が変わることだってあります。
 

最後に

今回はフードシステムについてのみ記載しましたが、

他にも食料不安について、動物を食べること、生物工学、食べ物と健康そして文化

これらのことが記載されていました。

この本は1方向からみた考えについて反証の趣旨を述べた人や論文についても記載されており、考えることが求められています。

フードロスや食糧問題、何かの問題を解決しているようで同じことを繰り返す現象を常に目のあたりにする人は、

やり方ではなく、まずはこの本を見て何であるべきか倫理観を養うと、新しい世界が見えると思います。

やり方で消耗する世界に飽きたのなら、

原理原則に近い存在を知り、シンプルな問題を解決するためには、

問題が起こらない行動と、問題が解決する行動をすることです。